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『殺しの双曲線』

西村京太郎版『そして誰もいなくなった』

THE・推理小説を久々に読んだ感。
ミステリではなく推理小説と呼びたいです。
「メイントリックは、双生児であることを利用したものです」
と書いてあってもトリックが分からないこの感覚良いよね。
こいつが怪しいよなーってのは匂わせてあるのに…!

登場人物のどことなくいやーんな部分が、
表には出てこずにそれぞれの言動や思考とかにちらほら現れていてリアル。

『あるキング』

伊坂さんの文庫新作。

彼の王道路線とは確かにちょっと違うけど面白かったです。
どことなく不穏な空気の中、最後まで読んでしまう感じは『魔王』と似ているような。
でも終わり方は何となく爽やかさも感じられます。
乃木がけっこう好きでした。笑

野球は好きで結構見るけど、
ホームランには確かに、人を泣かせてしまうような、そんな力があると感じることがある。
王様の本塁打には、黒々とした闇を吹き飛ばす力がある。
たとえ、それが一時的なものでも。


伊坂さんの作品の、「人と人がどこかで繋がっている」感がとても好きだ。
人生のある一点でしか交わらない人もいれば、長く添い遂げる人もいる。
長く一緒にいても何も影響を与えない人もいれば、
一瞬で強烈な衝撃を残して忘れられない人もいる。
人の縁とは不思議なものですね。

『すべてがFになる』

S&Mシリーズ1作目。
それにしても森さんの文体は独特で変わらんなあ。

勝手に東野さんのガリレオイメージを持っていたので(そんなの多いな)
犀川先生が思いのほか優しい、というか穏やかな人でびっくりした。笑
萌絵ちゃんのキャラクターが正直あんま好きじゃないんだが…
続編は読んでみたいと思う。
理系的なアプローチを突き詰めることで、
人間や人生を俯瞰で眺めている感じが面白かったです。

『堕落論』

初・坂口安吾。
勝手にものすごく破天荒なイメージを抱いていたけれど、そのイメージはそんなに間違っていなかったなと思った。笑
ただ、破天荒な中にも人間への愛情が感じられるような。
あと個人的にはとても「声に出して読みたくなる日本語」だった。

生きてる間が人間だよ。生まれてから死ぬまでが人生だよ。
人間なんて、生きててなんぼだよ。
という絶対的な生への肯定力を感じました。
最後の「不良少年とキリスト」の力がすごい。

『TUGUMI』

弟から拝借。
吉本ばななさんは『キッチン』しか読んでないかな?


この作品を読んで、何だかすごくほっとした気持ちになった。
変わりゆくものがたくさんある中で、変わらないものも確かにあるんだということに。
つぐみの強烈な存在感の一方で、陽子ちゃんの優しいしなやかな強さも好きで、
こんな人たちが周りにいたら、ぶれない柱が心の中にあるようで
とても気持ちが落ち着くんだろうなと何となく思った。
でも一見強い人も、その人の中ではたくさんの葛藤と戦っているんだろうね。

ちょうど読んだ季節も良かったかな。
夏の終わりと、新たな人生の始まり。

『フェルマーの最終定理』

数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への、3世紀に及ぶ数学者たちの挑戦を描いたノンフィクション。

本当に面白くて一気に読んだ!
こんなに純粋に「やばいこの本めっちゃ面白い!」ってなったの久々だな…。

畑の違う私が読んでも楽しめたし、数学に全く馴染みのない人でも大丈夫だと思う。
この本で語ろうとしているのは、難しい解法の解説ではなく、最大の難問をめぐる数学者たちのドラマなので。
作者の書き方がすごく上手くて好き。
入り組んだところはさらっと、でもワクワクを感じさせるところはしっかりと説明して書きこんでいて、そのバランス感がとってもいいのである。

いずれ単行本を買って本棚にずっと大切に持っておきたい1冊。

『八日目の蝉』

実は初めてな角田光代さん。


基本的に女性の書く文章があまりハマらないことが多いんですが
(だらだらと感傷的で鬱陶しい描写が苦手だったりする。
女性、と括っちゃうと語弊があるけども…)
この人の文章は良い意味で男性的で好きでした。
小川洋子さんと似た印象。

人間が一人生まれて成長することの不思議と親子の絆。
母親は、私は一人じゃない、と感じながら子供を産むわけで、
でも生まれた子供があくまで自分とは違う人間だということをいつ実感するんだろう。
母親と娘は、どうしたって分かち合えない部分と魂の奥でつながっている部分をどちらも共有していると思う。
自分が母親になったらまた読んでみたいです。
瀬戸内の海が見たくなった。

『人間の建設』

書評で気になり読んでみたかった本。
「文系的頭脳の歴史的天才と理系的頭脳の歴史的天才による雑談」。

"数学は知性の世界だけに存在しうるものではなく、感情を入れなければ成り立たない"
という部分の文章がとても印象に残った。
実例がまた興味深い…。
数学っていうのはある意味一番純粋な学問だよなあ、とか
あれは進むところまで進むと一種、哲学にちかいよなあ、とか
ぼんやり考えてはいたけど、そんな浅い思考で表せられるようもんじゃないんだよな。
当たり前だが。

思考を止めるな。考えろ、考えろ。
と言われているような気がした。

『すいかの匂い』
 さちさんからレンタル。
それぞれの少女の「忘れられない夏」を集めた11篇。

「海辺の町」を読んで思ったけど、そういえば私おはじきの遊び方知らない…。
家にはあったけどどうやって遊んでたんだ?眺めてたのか?笑
松葉の引っ張り合いっこは「薔薇のアーチ」を読んで久々に思い出した!

この中だと「弟」が断トツで好きですね。
確かに、お葬式には夏のイメージがあるなあ。どうしてだろう。
蝉の声と、汗をぬぐうハンカチと、じっとりと重たい空気と。
実際私自身、この半年ほど身内の弔事が3件もあって、
そのうち2件は冬だったはずなのに夏のお葬式のイメージが離れない。


全体として、楽しくキラキラした夏、のお話ではない。
むしろ、怠くてどことなくうす暗くて、外の日差しばかり眩しいようなそんな夏。
でも考えてみれば、幼いころの記憶で印象に残ってるのはそんな夏だ。
狭すぎる世界と、小さすぎる自分。
みじめさと孤独感の中で、必死で足掻いていたような。

あの頃はあの頃なりに不安もいっぱいあったから、戻りたいとは思わない。
ただ、この本を読んで懐かしいな、とは思った。



 「夏は嫌だな。嫌なことばかり思いだす」
 「小学生だったころのこととか?」
 「まあね」
 (「影」より)
『1Q84』

やっと読了。


個人的な好みは村上作品の中でそんなに高くないかも。
読んだ後に「?」感が残る部分が多くてそこが残念。
前半で警察やら宗教法人やら何となく漂う胡散臭さとほの暗さにワクワクした分…。
ふかえりやら戎野先生やら小松のその後が気になる。 
牛河の空気さなぎはどうなるのー。

あと、女性目線の村上春樹を読んだのが何気に初めてな気がする自分。
天吾の章は面白かったな。
人妻とか看護婦とか(こう書くと何かアダルティ…笑)、魅力的なキャラクターが多かった。
父親と猫の町のエピソードも好き。
そういえば、牛河は『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる牛河と何か関係あるのん…?


まあ何やかや言っても、久しぶりに重たい本読んで満足でした。
この世界から離れるのが寂しくてのんびりだらだら読んでたけど、
長いお話だからもう少し一気に読み進めてもよかったのかも。
また違う感じ方ができたかもしれないなーと思う。


 「なあ天吾くん、一人の小説家として、君なら現実というものをどう定義する?」
 「針で刺したら赤い血が出てくるところが現実の世界です」
 「じゃあ、間違いなくここが現実の世界だ」